この記事の結論(まずここだけ)
海外出張でZoom(Teams)が途切れる原因の多くは、速度不足ではなく「遅延・パケットロス・ジッター」です。
会議が切れる現場は、Wi-Fi混雑/電波の弱さ/VPN・セキュリティ制御/端末側の省電力・熱/回線の不安定が複合して起きます。
本記事では、現場で即使える「切り分け手順」と「再発防止の通信設計」を整理します。
海外出張で一番ダメージが大きい通信トラブルは、Web会議(Zoom/Microsoft Teams)が「途中で止まる」「音声が途切れる」「映像が固まる」ことです。 国内なら数分のリカバリーで済む場面でも、海外では会議相手の心理的ハードルが上がり、信頼の毀損や商談機会の損失に直結します。
ここで重要なのは、ZoomやTeamsが求める通信品質は「速い回線」よりも、安定して届く回線だという点です。 例えばダウンロード速度がそこそこ出ていても、遅延(Latency)やパケットロス(Packet Loss)が増えると、会議は簡単に破綻します。
なぜ「海外だと」Zoom(Teams)が途切れやすいのか
要点:海外出張の会議品質は「回線の物理条件」と「企業のセキュリティ制御」と「端末負荷」が同時に効きます。原因はひとつではなく、複合要因で起きるケースがほとんどです。
(1) 会場Wi-Fi/ホテルWi-Fiの混雑(帯域取り合い)
展示会やホテルは、多数の端末が同時に接続します。回線の「最大速度」より、混雑による瞬間的なロスが問題になります。 Zoom/Teamsはリアルタイム通信なので、数秒の詰まりでも「音が飛ぶ」「画面が固まる」に直結します。
(2) Wi-Fi電波の弱さ(壁・距離・干渉)
海外の建物は壁が厚い、レイアウトが広い、アクセスポイントの配置が最適化されていない等があり、 電波が弱い地点で会議を始めると、途中で揺らぎが発生しやすくなります。
(3) 4G/5G回線の揺らぎ(移動・屋内・混雑)
モバイル回線は「繋がっているように見える」状態でも、基地局の混雑や屋内の減衰で品質が変動します。 海外ではローミング先の最適化やエリア条件が読みづらく、会議中に品質が落ちることがあります。
(4) VPN・セキュリティ制御(企業ネットワークの影響)
法人環境では、VPN経由で社内に接続しながら会議を行うことがあります。 VPNは暗号化で安定性が増す一方、経路が伸びたり、MTU問題や検査(プロキシ/セキュリティ製品)で遅延が増えると、会議品質が一気に落ちます。
(5) 端末側(熱・省電力・バックグラウンド同期)
海外出張では、スマホのテザリングやモバイル運用で端末に負荷がかかりやすいです。 発熱による性能低下、省電力モード、バックグラウンド同期が重なると、通信と会議アプリの安定動作が崩れる場合があります。
5分でできる:Zoom(Teams)が途切れる原因の切り分け
要点:「何が悪いか分からない」状態を避けるため、手順を固定します。結論から言うと、まずはWi-Fi→回線→VPN→端末の順で疑うと早いです。
切り分けの基本ルール
- 「速度」ではなく遅延・ロス・揺らぎを疑う
- 一回で結論を出さず、条件を一つずつ変える
- 会議の前に、同じ場所で短時間のテスト接続を行う
手順1:Wi-Fiを疑う(最短で効く)
まずは会場Wi-Fi/ホテルWi-Fiの場合、「場所を移動」します。 同じWi-Fiでも電波が強い場所に移るだけで改善するケースが多いです。 可能なら、アクセスポイントに近い場所、壁や障害物が少ない場所へ移動してください。
手順2:別回線で試す(Wi-Fi→モバイル回線)
次に、Wi-Fiを切ってモバイル回線(スマホテザリング/モバイルルーター)に切り替えて再接続します。 これで改善するなら、原因はWi-Fi側(混雑・干渉・機器)である可能性が高いです。 逆に改善しないなら、端末・VPN・会議アプリ側の可能性が上がります。
手順3:VPNを切る/経路を短くする(法人で多い)
会社の方針で可能な範囲で、VPN接続の有無を切り替えて比較します。 VPNがONの時だけ途切れるなら、VPN経路・セキュリティ検査・MTUなどが影響している可能性があります。 重要会議は「会議だけVPNを外す」「社内接続を会議中は止める」など、運用設計で回避できることが多いです。
手順4:端末の負荷を下げる(熱・省電力・同期)
バッテリー節約の省電力モード、バックグラウンドで走るクラウド同期、OSアップデート通知などは、会議中の揺らぎにつながることがあります。 会議前に、不要なアプリを閉じ、同期を止め、端末を冷やす(直射日光を避ける)だけでも改善します。
手順5:会議設定を「落とす」(最後の手段)
どうしても不安定な場合は、映像をOFFにして音声優先にする、画質を下げる、画面共有を止めるなど、 会議の負荷を落として“成立させる”判断が必要です。ビジネスでは「高画質」より「会議が成立する」が価値です。
ここまでで改善しない場合、根本は「その場の回線品質」自体が弱い可能性が高いです。 次章では、再発防止のための通信設計(業務を止めない構成)を解説します。
再発防止:Zoom(Teams)を止めないための通信設計
要点:「現場の切り分け」だけでは再発します。海外出張の会議品質は、冗長化(バックアップ)と運用の標準化で安定します。
設計1:会議専用の回線を持つ(Wi-Fi混雑を回避)
展示会場・ホテルWi-Fiは混雑します。重要会議がある出張では、「会議だけは別回線」で行うのが最も確実です。 特に画面共有がある会議は、安定性が最優先になります。
設計2:スマホテザリング一本化を避ける(熱・電池・着信リスク)
スマホテザリングは身軽ですが、熱・電池・着信・電波配置の制約が出ます。 出張中に「会議品質」を守るなら、通信専用機(モバイルルーター)を持つだけで事故率が下がります。
設計3:法人は“VPN運用”を標準化する(会議と社内接続を分離)
法人では、VPNが必須な業務と、会議(Zoom/Teams)の安定性が衝突する場面があります。 対策は「運用設計」です。例えば以下のようにルール化すると、現場の事故が減ります。
- 重要会議中は、会議端末はVPNを外し、社内接続は別端末で行う
- 会議用の回線(ルーター)を用意し、社内接続は固定回線や別経路に逃がす
- 会議前にテスト接続(同じ場所・同じ時間帯)を標準手順化する
設計4:会議の“前提条件”を1枚にまとめる(現場に効く)
海外出張は属人化しやすいです。だからこそ、会議トラブルを減らすには「前提条件」を揃えます。 例:会議前のチェック(場所・回線・VPN・端末・充電)をテンプレ化し、出張者全員が同じ動きをできるようにする。 これが結果的に、出張の生産性を上げます。
補足:親記事で“通信戦略”全体像を整理したい方へ
ここまで読んで「会議だけの話ではなく、海外通信全体の設計が必要」と感じた方は、ピラー記事で全体像を先に押さえるのが最短です。
→ 海外出張の通信は「eSIMかWi-Fiか」ではない|法人・経営視点で考える海外ビジネス通信戦略
まとめ:Zoom(Teams)が途切れる原因は「速度」より“品質の揺らぎ”
要点:海外会議のトラブルは、Wi-Fi混雑・電波・回線変動・VPN・端末負荷が複合して起きます。現場では切り分け手順を固定し、再発防止は冗長化と運用標準化で解決するのが最短です。
- 現場の切り分け:Wi-Fi→別回線→VPN→端末→会議設定の順で条件を変える
- 再発防止:会議用回線の確保/テザリング一本化回避/VPN運用のルール化
- 組織対応:チェックリストのテンプレ化で属人化を潰す
海外出張の通信は、会議だけを対処しても根本解決しません。
「eSIMかWi-Fiか」という二択ではなく、業務を止めないための通信戦略として全体を整理したい方は、親記事をご覧ください。


